県外から来た人が聞けば、少しきつく感じる佐久の方言。しかし、深く付き合ってみると信州人の温かい地域性
が伝わってきます。
長野県でも北・南・中・東・・・それぞれ異なる方言。また、佐久の中でも微妙に違ったりもします。
「そうそう!」と、うなづくものもあれば、「え?これも方言なの?」なんて初めて方言だったと気付いたり・・・(笑)
若い人は知らない言葉もあるかもしれません。
なかには「少しニュアンスが違う」などあるかとは思いますが、その人、その家族、その地区の独特の言い回しも
あるかと思います。それぞれの歴史や背景が異なるので当たり前・・・もしかしたら、私のおじいちゃんしか使わ
ない方言もあるのかもしれませんしね(笑)。
私はそれも方言の文化だと思います。「絶対」というのはないはずです。参考にしていただければと思います。
このコーナーでは、思いついた方言を会話形式でご紹介いたします。投稿もお待ちしております(^0^)/
方言の投稿

●老夫婦と息子家族の会話
 おじいちゃんが若かりし頃のアルバムを広げて、

 息子:  「じいちゃん、若いー!毛もふさふさ」

 息子の嫁: 「ホントだー!それにカッコいいっ!」

 じいちゃん: 「うん、俳優とよく間違えられただに。」

 ばあちゃん: へっ!まあそんなしゃらっけびたことが言える

         しょうしくもねぇ

〜んなぁ ・・・「〜だなぁ」 なぜかが入る

へっ! へぇ! ・・・感嘆詞 

しゃらっけびた ・・・しゃら(とても)+げびた(下品)

〜に、〜だに ・・・最後によくつける

しょうしくもねぇ ・・・恥ずかしい


●幼なじみの歯医者と患者の会話 (南佐久出身横浜在住:陽気なアリさん)
  「どうしたい?」
  「どうしったってこたぁねぇべん。
       歯がいてぇから 歯医者に来たずらにぃ
  「そりゃぁ、そうだなぁ。おぉ!こりゃ、えれぇ虫歯だなぁ」
   去年な診た時は、なんつぅこたぁなかったになぁ」
  「だれぇ!昔から、ちっとしみてただにぃ。
      おとついなから痛くなって、きんなからうづいて、
      ゆうべなから我慢できなくってさ」
 「へいぜな…歯を磨いてんのか?
 来年なか、再来年なぐらいに、入れ歯にした方がいいなぁ。」
 「なんっつう事言うかな、やぶ医者が。
            でも、お陰で痛くなくなったよ。」
 「おめぇおてんたら言って。麻酔うっただけだに」
 「・・・・・・」
ねぇべん・・ないだろ

来たずらにぃ・・・来たんだろう。語尾に「ずら」が付く事が多々ある。
       例:そうずら→そうだろう

おとついな・きんな・ゆうべな・去年な
来年な・再来年な・・・「一昨日」「昨日」「昨夜」「去年」
                  「来年」「再来年」には「〜な」が付く。
                例外は「明日・明後日」で付かない。
       そういえば、「今日」と「今年」はどうなんだろう?

なんつぅこたぁ・・・何て事は

だれぇ!・・・何言ってるのよ、そんなことないよ、の否定的な間投詞

おてんたら・・・お世辞




おとっさぁと息子の会話・・・学校から慌てて帰って来た息子に説教するおとっさぁ

(南佐久出身横浜在住:陽気なアリさん。)



 「ただいまぁ。」
 「おい、こらっ。つっかけうわっぱり
         ほっぽらかしとくじゃねぇよ。」
 「だって、しっこがもっちゅうからまてな事
                やってらんねぇよ。」
 「ばかたれ。でぇいじんとこのさきっぽ
                          しっちばっとけ。」
 「おとっさぁ、ばばっちい話しすんなよ。」
 「いいか、おらちに伝わる家訓をあかすから
    ののさんのめぇおつくべして
       みいしみて聞け。こらっ。くねくねすんな。」
 「だって背中がかいぃからちっと かじってくんろ
 「おお、どこだ ここか。」
 「痛い。そこはきんな木に登ったら枝がおっくじけて
                  さらきおって打ったとこだよ。」
 「まったく ちょっけぇのれぇなあ。」
 「ちったぁ おやげねぇって思わねぇだかい。」
 「こんだ どうだ。気持ち良くて こてぇさんねぇべぇ。」
 「ももっけぇよ。ところで おとっさぁ、家訓はどうした。」
 「忘れた。」
今回はこんな挿絵まで送っていただきました。
おとっさぁ・・・お父さん
つっかけとうわっぱり・・・履物と上着、(つっかけはスリッパ
                      やサンダルなど簡単な履物)
ほっぽらかしとく・・・放って置く、やりっぱなしにしておく
しっこがもっちゅう・・・オシッコが漏れてしまう
まて・・・丁寧
でぇいじんとこのさきっぽ・・・大事なところの先端
しっちばっとけ・・・縛っておけ
ばばっちい・・・汚い
あかす・・・秘密を教える
ののさんのめぇ・・・仏様の前、仏壇の前
おつくべして・・・正座して
みいしみて・・・身にしみるように真剣に
かいぃ・・・かゆい
ちっと・・・ちょっと、少し
かじってくんろ・・・(背中を)掻いて下さい (*1)
きんな・・・昨日
おっくじけて・・・折れて
さらきおって・・・落ちて
ちょっけぇのれぇ・・・反射神経が鈍い
ちったぁ・・・少しは
おやげねぇって・・・可哀想だって
こてぇさんねぇべぇ・・・答えられないだろう、具合が良いだろう
ももっけぇよ・・・くすぐったいよ


*1 余談
新婚の頃、方言の分からぬ女房に「背中をかじって」っていったらマジに
噛み付かれた(^^)


●雪道で・・・村のわけぇしょうの会話。(南佐久出身横浜在住:陽気なアリさん。南佐久出身長野市在住:ヒロさんとの合作です。)


 「おぇ どうしたい。」
 「雪につっぺって動かねぇよ。」
 「あちゃけつからロープでひっつってみるかぃ。」
 「たのまぁ。ロープがすべっけぇからしっこくリ
                        作ってみてくんろ。」
 「だめだ。おぇ!ちっとべぇ動いたけんど
           らちゃあかねぇぞ。」 
 「こんだ てこっぽ めっけて めぇから 
           つっこくってみらざぁ。」
 「車がおっこれねぇように でぇじにやんてくんろよ。」
 「大丈夫!大丈夫!わっきゃねぇよ。」
 「おぇてめぇとぉの車じゃねぇからめた
        ちょんこづいて やだいなぁ。」
 「棒の先っぽいっかってみてくんろ。」
 「おぉっ!出た出た!」
 「おいとぉおごっそうするからおらとここぉやぁ。」
 「あぁ、よばれらずぅ。」




※いつも楽しい投稿ありがとうございます。今回は合作というだけあって
すばらしいですね。こんな短い会話の中に25もの方言が・・・。(でも、
この会話の中にはまだ方言があるような・・・)こうしてみると佐久周辺は
方言のかたまりじゃあないですか!また、あらためて佐久の文化を
知った気がします。次回投稿も心待ちにしております。
(あさま日和編集社) 
わけぇしょう・・・若者達、青年達 (しょう・・・達)
つっぺって・・・溝などにはまって
けつ・・・うしろ
ひっつって・・・引っ張って
すべっけぇ・・・すべる、すべすべしている
しっこくり・・・結び目
ちっとべぇ・・・少しぐらい
らちゃあかねぇ・・・らちがあかない
こんだ・・・今度は
てこっぽ・・・てこ棒 (棒の事を・・っぽ と言う、例:はぜっぽ・・・
  刈った稲を掛ける長い棒)
めっけて・・・みつけて
めぇから・・・前から
つっこくって・・・突いて
おっこれねぇように・・・壊れないように
でぇじ・・・大事、大切、ていねい
わっきゃねぇ・・・わけない、簡単
てめぇとぉの・・・自分達の
めた・・・どんどん、ますます
ちょんこづいて・・・調子づいて
先っぽ・・・先端
いっかって・・・乗っかって
おいとぉ・・・君達、おまえ達
おごっそう・・・ご馳走
おらとこ・・・私の家
よばれらずぅ・・・ご馳走になろう 



●村の母チャン達の会話(ちょっといせぇいいオバチャン)から・・・。(南佐久出身横浜在住:陽気なアリさん)



 「おめんちの父チャンは 何してる?」

 「せんぜぇの畑をかんましてるだに。
  なっぱまくに草がたんと おいてて
  しょうねぇから

 「そりゃあせっこういいなあ。
  おらちのきんな飲みに行って、
  らっちょもねぇ女にしゃっかまって
   今朝けぇって来ただに。そべぇててんで
   しょうねぇもんだから今にぶちゃってやらずよ。」

 「またたいむねぇこんで きもいって。」

 「そいでも よた男には、おらみてぇなやんべぇ
  なのが嫁に来てやるだに。」



いせぇいい・・・元気の良い
せんぜぇ・・・家の敷地に隣接する畑
かんます・・・掻き回す、トラクターで耕す
なっぱ・・・特に野沢菜の事(なっぱまくは 野沢菜の種を播く)
たんと・・沢山
おいてて・・・生(は)えてて
しょうねぇ・・・仕方ない、どうしようもない
せっこういい・・・よく働く
おらちの・・・配偶者、夫婦の片方を呼ぶ
きんな・・・昨日
おらちの・・・配偶者、夫婦の片方を呼ぶ
らっちょもねぇ・・・つまらない、たいした事もない
しゃっかまって・・・捕まって
そべぇて・・・甘えて
てんで・・・本当に、まったく
ぶちゃって・・・捨てて
たいむねぇこんで・・・たわいもない事で
きもいって・・・頭にきて
そいでも・・・それでも
よた・・・悪い、物にならない
やんべぇ・・・丁度良い、具合良い 



●60歳過ぎと思しき主婦の会話から・・・。(臼田町:MKさんからの投稿です)



「きのうはうちで野沢菜を樽に三つ漬けただよ」

よくだにーまさか働き者(モンと発音)だいね。
 父ちゃんもせっこうよく手伝って?」

だれーっ、朝からパチンコだに

あんまししんのにならんようになからにやるだいね」


よくだに・・・よくやるねえ、すごいねえ、の意味を持つ反面、よくやるわ、まあ
          ご苦労なことでといった感嘆と一部は呆れた感の表す間投詞
まさか・・・古語の<まさしく>から生じたとされる本当に、確かにの意味を持つ
        副詞
せっこうよく・・・勤勉に、熱心にの意味を持つ形容詞。既出の
            「ちゅうっくらい」の対義語的な語
だれー・・・何言ってるのよ、そんなことないよ、の否定的な間投詞
あんまし・・・あんまりの意味の副詞
だに・・・語尾につく接尾語 南佐久に多いか?
なから・・・ほどほどに ちゅうっくらいがいい加減的な意味に対して
        そこそこに、適度の意味を持つ形容動詞? 

※既出ですが佐久地区は「ヒ音」が「シ音」に反転するので(ときに逆も)消費税はヒョウシゼイ、潮干狩りはヒオシガリ、差し引きは

サシシキ(差式と書くことあり)となります。また人名で「ひろみ」にしようとして「志路美」、「ひでこ」にしようとして「志出子」の例が

あります。届ける人も戸籍係りの人も発音できなかったんでしょうね。役場でのやりとりを考えると面白いです。

 当方、大学出てから21年佐久に住んでいたらときどきヒとシが間違って発音することがあります。何が原因かわかりませんが・・・。



●世間話から・・・。


 「最近、オレオレ詐欺が流行ってるらしいわ。」

 「年寄りばかり騙す電話ずら?」

 「そうそう、こすい事するんな〜。」

 「それにしても騙された年寄りはおやげねえんな。」

 「そんなよたこくのは、めた捕まりゃあいいんな・・・。」

※こすい・・・ずるい、ずるがしこい
※おやげねえ・・・かわいそう
よたこく・・・悪いことをする、いたずらする。ほかによたもの・
    よたもんなどと言う場合があるが、物に対しては粗悪
      な物の意味。人に対して使うときは’悪いやつ’やいたずら
    ばかりしている人間をさす場合も・・・。
※めた・・・もっと、たくさん
※この方言は9月に東京から佐久に戻ってきたと言う
杏月パパさんからの投稿です。「久しぶりに地元の
人と話すとその方言の多さに驚かされました。」との
事です。


●親子が遊んでいます・・・。


 父「ももかすぞ〜!」 コチョコチョコチョ

 子「やだ〜!ももっかいよ〜!」

 父「本当はうれしいくせに〜」 コチョコチョコチョ

 子「本当にももっかいよ〜!やめて〜!」

ももかす・ももっかい・・・くすぐる、くすぐったい


●お葬式の帰りの会話から・・・。


 Aさん「今日のおっしゃんまてだったな・・・。」

 Bさん「なにが?」

 Aさん「お経の読み方とかさ・・・。」

 Bさん「お経の勉強でもしたことあるの?」

 Aさん「ないけどさ・・・。」 

 Aさん「そういえばまてと言えば、この間行った床屋よかったぞ!」

おっしゃん・・・和尚さん
まて・・・まて〜とのばす場合もある。丁寧の意味。「待て」
      とは明らかにニュアンスが異なる
イボをつる・・・スネる。いじける
まる・・・する。主に排泄物を出すときに使う人が
       おおいような・・・
 Bさん「どこの?」

 Aさん「ほら、くるくるけんの横にある床屋だよ。」

 Bさん「あそこは知ってるよ。この間、弟が行ってイボつって帰ってきたよ・・・。

     どこがまてなんだよ・・・。下手だぞ・・・。」

 Aさん「・・・。」

 Aさん「ちょっともよおしてきた。ウン○まるとこないかな。」

 Bさん「まったく・・・どこでもまれるだろ!都合が悪くなるともよおすんだから・・・。」


   どうやらこのふたり友人同士らしいんですけど・・・。きたない結末になってしまって

  申し訳ありません・・・。



●「まる」に関してはこんな投稿も・・・。(南佐久出身横浜在住:陽気なアリさん)


  佐久出身者Aが、東京の友人Bと二人で山手線のある駅のトイレに入る寸前に・・・。

 A 「あっ。さっきの店にカバン置いて来ちゃった。取りに行って来るからオシッコまっててね。」 
 

  Aはそう言うと走って行ってしまった。残されたBはAが戻る

 までジッと我慢していた・・・。

 少し下品ですが、佐久地方(もう少し北方でも)でトイレで用をする事を

「まる」と言います。幼児がトイレトレーニングに使う「おまる」が語源かと

思うのですが・・・。その「まる」は方言で、そのまま東京に来て使うと

大変な事になります。



●佐久の方言の特徴のひとつとして「ひ」を「し」と置き換えて話すことがあります。例えば・・・


 おばあちゃん夫婦が北海道旅行から帰ってきて嫁に言いました。

婆「いや〜、北海道はろかったよ〜!」

嫁「そうですか。」

 嫁は思いました。(今は6月、北海道はまだ雪がたくさん残っているのかしら?)

婆は「広かった」と話したつもりでしたが、地元育ちでない嫁には伝わらなかったようです・・・。

人によっては名前まで「し」と読むことがあります。それが親であっても・・・。

「おい!ろし!」

                もちろん彼の名は「ひろし」です・・・。


 これから子どもが生まれる方は気をつけましょう???


●運動会でおばあちゃんと孫の会話から・・・


孫 「お姉ちゃんのとびっくら始まったよ。」

婆 「あんなに一生懸命走ったら、しんのずらに。」

孫 「あ!お姉ちゃん転んじゃった!」

婆 「おんぼさますりむいてねえかい?」

孫 「大丈夫みたいだよ。」

 
とびっくら・とびっこら ・・・かけっこ

しんの ・・・しんどい、疲れる
おんぼさま ・・・膝小僧

  


●主婦の立ち話から・・・


 「この前、○○さんちの息子が髪の毛金色にして歩いてただっつうわ。」

 「あら、金髪なんてしょうしくねえずらか」

 「最近の子はらっちもねえ事ばっかするだよ〜。染めるだけでも時間掛かるっつうしな。」

 「わたしなんか、そんなずくもねえわ。」

 「そういえば、××さんちの息子も、東京に行ったまんまはあるか帰ってこねえんな。夜の仕事でも

 してるじゃあねえか。」

 「だれさ、美容院で働いてるって話だに。」

 「あののうなしがかい?昔っから婆ちゃん子でぞぜえてばっかいたにな〜。」

 「今じゃ、せっこよく仕事してるだよ。さっちら遊びもしたみてえだしな。」


しょうしい ・・・恥ずかしい

らっちもねえ ・・・くだらない、無駄

ずく ・・・「やる気」「その気」と言うような意味。

      「ずくがない」「ずくなし」 などは「やる気がない」「その気がない」と言った意味で用いられる。

       もっと細かく訳すのであれば「面倒くさいからヤダ」と言った意味が当てはまる。東京などに出ていき、

       一番最初に「なにそれ?」と聞かれるのは、この言葉?

はあるか ・・・長い間

だれさ・だれ〜 ・・・「いいえ」あるいは「違うよ」の意味で否定するときに使われる。

のうなし ・・・「役立たず」何に対してもやる気のない、あるいは仕事嫌いなど

ぞぜえる ・・・あまえる

せっこよく ・・・精をだす、精がでる

さっちら ・・・さんざん



●バーベキューにて・・・


 「そろそろおきおこしてくれや!」 「炭がねえんだけど。」

 「あ!野菜もねえや。しょうがねえな、買いにえべや。」

 「じゃあ、いかず。」


 ・・・「おきができたよ!」 「じゃあ、肉焼けや」

 ・・・「そろそろとんましたほうがよくねえか」

 「まだうわっかしか焼けてねえよ。」

 「いや、もういいよ。おめえはやる事ちゅっくれんだからな。」
 「おめえは
しゃらっつねえけどな・・・。」

おき ・・・炭火、火

えべや・いかず ・・・行こう

とんます ・・・かんますとも言う。裏返す使い方に

           よってはかき混ぜるの意味も

うわっか ・・・表面

ちゅっくれん ・・・いい加減
しゃらっつねえ ・・・ずうずうしい



 

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